事業規模は過去最大108兆円 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を読み解く ~もらえるお金(給付金)ともらえる物(現物支給)~

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日本政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月7日に緊急経済対策を閣議決定しました。

その内容が内閣府HPに掲載されています。

内閣府HP 内閣府の政策 > 経済財政政策 > 経済対策等
URL:https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html

※上記URLの
「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~」(令和2年4月7日)
の部分です。

こちらの長くて分かりづらい資料の中から、もらえるお金(給付金等)ともらえる物(現物支給)についてまとめます。

1.個人がもらえる(可能性がある)お金(給付金)等

(1)生活に困っている世帯に対する新たな給付金(生活支援臨時給付金(仮称))=例の30万円の給付金→一転、中止に

例の1世帯あたり30万円の給付金の事です。

頻繁にメディアで取り上げられているのでご存じの方も多いと思います。

本件に関しては総務省のHPに詳しく記載されていますので、気になる方はそちらを確認してみて下さい。

参照先:総務省HP 生活支援臨時給付金
URL:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

対象者が住民税非課税に相当する世帯に絞られた事で世間の評判は芳しくないですね。
給付対象は下記のように記載されています。

給付対象

世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が、

(1)新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと住民税非課税水準(※)となる低所得世帯

(2)新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと住民税非課税水準(※)の2倍以下となる世帯

等を対象とする。

※申請・審査手続の簡便化のため、世帯主(給与所得者)の月間収入が下記の基準額 以下であれば、級地区分にかかわらず住民税非課税水準であるとみなす。

・扶養親族等なし(単身世帯) 10万円
・扶養親族等1人 15万円
・扶養親族等2人 20万円
・扶養親族等3人 25万円
(注1)扶養親族等とは、扶養親族及び同一生計配偶者を指す。
(注2)扶養親族等の4人目以降は、基準額を1人当たり5万円加算。

引用元:総務省HP 生活支援臨時給付金
URL:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

ちなみに、個人的に”収入の減少”とは現在の収入をいつの収入と比較するのか疑問だったのですが、よくある質問に回答がありました。

問2 「収入が減少した世帯」が給付対象とされていますが、いつの収入同士を比べるのですか。

本年2月~6月の任意の月の月間収入が、昨年に比べて減少していることをお示しいただく予定です。
比較の方法については、詳細が決まり次第、政府(総務省)のホームページ等においてお知らせいたします。

引用元:総務省HP 生活支援臨時給付金
URL:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

ただ、上記にも記載がありますが、

・具体的に収入の減少をどうやって示すのか
・具体的な対象者の要件や判定方法
・それらに必要な書類

等の詳細はまだ明らかになっていません。

問3 自分が対象者に該当するか分からないのですが、どうすれば良いですか。

政府(総務省)において、対象者の要件や判定方法をまとめた資料を作成し、ホームページ等において公表する予定です。

引用元:総務省HP 生活支援臨時給付金
URL:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

という事なので、まだ誰がもらえて誰がもらえないのか、正確にはわからない状況です。

とりあえず、詳細が決定され公表されるのを待つしかありません。

また、補正予算の成立が前提条件ですのでまだ確定した訳ではありません。
(さすがに国会で流れる事は無いと思いますが・・・)

従って開始時期がいつになるのかも不透明です。

なお、補正予算では4兆205億85百万円が計上*されています。
* 出典:総務省HP 事務連絡 生活支援臨時給付金(仮称)事業に係る留意事項について
URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000681792.pdf

(2)子育て世帯臨時特例給付金(児童手当の加算)

児童手当の受給世帯を対象に、子供一人につき1万円が追加支給されます。

こちらに関しては表現が「子育て世帯臨時特例給付金」、「児童手当の加算」等々、様々ありますが、内容は一緒です。

ただ、支給時期や手続き等の詳細はまだ不明です。

補正予算では1657.3億円が計上*されています。(特別会計含む)
* 出典:内閣府HP 令和2年度補正予算(案)の概要
URL:https://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/r02/yosan_r2_hosei.pdf

(3)住居確保給付金の支給対象見直しによる支援の拡充

今回の為に新しく作られた給付金制度ではなく、従来からある制度ですが、対象の拡大と弾力的な運用により内容が改善されました。

本制度は、就労能力及び就労意欲のある方離職者に対し、住宅の確保を目的として
原則3か月間の住宅費を支給する制度です。

従来、この給付金を受給するには
離職・廃業から2年以内
ハローワークに求職の申し込みを行っている
収入が一定額*以下かつ資産額が一定額*以下であること
 (*自治体によって異なる)
が条件とされており、フリーランスの場合は「個別の状況に応じて」支給が行われてきました。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、「離職・廃業から2年以内の方」に限られていた対象者が4月20日から拡大される事が決定。

厚生労働省の発した事務連絡によると、

給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由、当該個人の都合によらないで減少し、離職又は廃業には至っていないがこうした状況と同程度の状況にある方

引用元:住居確保給付金の支給対象の拡大に係る生活困窮者自立支援法施行規則の改正予定について
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000620018.pdf

と対象が拡大される事に。

更に、

また、離職等から 2 年以内の方という住居確保給付金の対象者については、申請日において離職・廃業中であることを求めるものではなく、例えば、2 年以内に離職した方が、離職後に生計を維持するためにアルバイト等で収入を得ている場合など、現在就労していても、2 年以内の離職等を契機として経済的な困窮状態が継続している方であれば、申請日の属する月の所得が収入基準額を下回る等要件を満たすと申請が可能となりますので、この点も改めて周知いたします。

引用元:住居確保給付金の支給対象の拡大に係る生活困窮者自立支援法施行規則の改正予定について
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000620018.pdf

という記載もあり、コロナ原因の離職でなくとも、離職から2年以内で保有資産と収入が条件を満たしていれば対象となる可能性があります。

また他の施策と異なり、開始時期が4月20日と明確になっているのもポイント。

対象になりそうな方はお住いの自治体に問い合わせをおススメします。

補正予算では27億円が計上*されています。
* 出典:厚生労働省HP 令和2年度 厚生労働省補正予算(案)の概要
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000619775.pdf

(4)国民年金と国民健康保険の保険料減免

給付金がもらえる訳ではありませんが、保険料が免除もしくは減額される事で実質負担が減ります。

感染症の影響により一定程度収入が下がった方々等に対して、国民健康保険、国民年金等の保険料の免除等を行う。

引用元:「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について別紙
    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~
URL:https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

国民年金については、日本年金機構のHPにわずかな記載があります。

【国民年金被保険者の方へ】新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について

今般の新型コロナウイルスの感染症の影響により、失業、事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方など、一時的に国民年金保険料を納付することが困難な場合については、一定の要件に該当する方は、ご本人からの申請に基づき、国民年金保険料の免除が適用できる場合があります。

免除の詳細や手続きの方法については、市区町村またはお近くの年金事務所にお問い合わせください。

引用元:日本年金機構HP 【国民年金被保険者の方へ】新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について
URL:https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200312.html

残念ながら詳細については記載がありません。

失業時の減免措置は以前からありますが、対象の拡大や条件の変更等があるのか、不明です。

国民健康保険については各自治体によって対応が分かれるようですね。

従来からある減免制度を適用する自治体、まずは相談してくれというスタンスの自治体と様々です。

国保の減免については、厚生労働省から各自治体の担当部署向けに4月8日付で事務連絡*が出ています。

* 出典:新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援について
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000620361.pdf


なお、減免分の財源は特別調整交付金の形で国から支援があるようです。
補正予算では市町村に対する財政支援として365億円が計上*されています。
* 出典:厚生労働省HP 令和2年度 厚生労働省補正予算(案)の概要
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000619775.pdf

(5)奨学金や授業料の減免

学生向けの支援も実施されるようです。

奨学金や授業料の減免を通じた支援(文部科学省)

引用元:「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について別紙
    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~
URL:https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

文部科学省のHPを見ると、

・家計が急変した世帯の高校生等に対して、授業料減免や高校生等奨学給付金を通じた支援を実施

・家計が急変するなどして、経済的支援を必要とする家庭の学生を対象として、奨学金や授業料減免等を通じた支援を実施

・新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変し、経済的困難が生じた学生に対し、各大学等が、授業料等の納付猶予や独自の授業料減免等も含めたきめ細かな配慮を行うことができるよう、国としても支援

・貸与奨学金の返還が困難な者に対し、返還猶予や減額返還等の返還支援

引用元:文部科学省 緊急経済対策パッケージ
URL:https://www.mext.go.jp/content/20200407-mxt_kouhou02-000004520-3.pdf

といった内容が並びます。

が、しかし最後の減額返還は月々の返済額が減る代わりに返済期間を延ばす措置なので、返済総額は変わりません。

減額返還制度とは・・・毎月の返還額を減額して返還することができます。

減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方を対象としています。

一定期間、当初約束した返還月額を減額して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長します。毎月の返還額を減額するため、無理なく返還を続けることができます。

引用元:独立行政法人 日本奨学金支援機構HP 減額返還
URL:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/index.html

という事で、給付奨学金も始まっているのに渋い・・・。

しかも、「家計が急変した家庭の学生に対する支援」として、今回の補正予算(案)に盛り込まれたのは僅か7億円*です。
* 出典:文部科学省HP 令和2年度文部科学省補正予算(案)
URL:https://www.mext.go.jp/content/20200407-mxt_kaikesou01-10001477_00-1.pdf

在学者数は大学生だけで約289万人、国公立以外の私立の高校生が103万人です。

合わせて400万人弱の学生のうちどのくらいの学生が「家計が急変」するのかわかりませんが、1%としても、

400万人 × 1% = 4万人

7億円 ÷ 4万人 = 1万7500円

学生一人当たり1万7500円という計算に・・・

もちろん、この後の追加支援があるのかも知れませんが、これで予算十分でしょうか?

2.個人がもらえる(可能性がある)物(現物支給)

(1)全世帯を対象とした布製マスクの配布

こちらも30万円の給付金と並んでメディアを騒がせている話題ですので、ご存じの方がほとんどかと思います。

全国で 5,000 万余りの世帯全てを対象に1住所当たり2枚配布

引用元:「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について別紙
    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~
URL:https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

アベノマスクなんて揶揄されてもいますが・・・

こちらの施策も補正予算に計上されており、その金額は233億円*です。
* 出典:財務省HP 令和2年度補正予算の概要
URL:https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020407b.pdf

(2)介護施設利用者等及び妊婦への布製マスクの配布等

布製マスクについては、政府による買上げにより、介護施設利用者等及び妊婦に対して、順次、必要な枚数を配布する

引用元:「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について別紙
    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~
URL:https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

介護施設利用者や妊婦へは別途マスクの支給があるようです。

詳細はまだ決まっていないのか、情報が出てきませんでした。

(3)学校への布製マスクの配布

更に別途、学校にも布製マスクが配布されます。

全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校等の児童・生徒及び教職員に対して、4月以降、1人2枚配布

引用元:「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について別紙
    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~
URL:https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

文部科学省のHPに具体的な記載がありました。

文部科学省では、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校等の児童生徒及び教職員に対して、計2回(4月中と5月以降とで各1回)、布製マスクを1人1枚行き渡るよう配布することとしましたので、お知らせします。

文部科学省では、学校再開に向けた支援の一環として、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校等の児童生徒及び教職員に対して、計2回、布製マスクを配布することとしました。

第1回については、4月13日(月曜日)以降、日本郵便の配達網により順次各学校に直接配布しますのでお知らせします。

引用元:文部科学省HP 報道発表 学校への布製マスクの配布について
URL:https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/mext_00189.html

という事で、月曜日から配布が始まるようですね。

使い捨てマスクは残念ながら供給が需要に追い付いていないせいか、相変わらず品薄の状況が続いています。

そういう意味では来週早々に配布が始まるのはポジティブなニュースですね。

補正予算では(2)や学校施設等のその他感染拡⼤防⽌策と合わせ792億円が計上*されています。
* 出典:財務省HP 令和2年度補正予算の概要
URL:https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020407b.pdf

(4)Go Toキャンペーン(仮称)

事態が収束した後の消費喚起施策も盛り込まれてます。

緊急事態宣言が出ている状態で収束後の消費喚起策に言及する事には賛否両論あるでしょうが、その是非についてここでは論じません。

新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後の一定期間に限定して、官民一体型の消費喚起キャンペーンを実施する。

具体的には、キャンペーン期間中の旅行商品を購入した消費者や飲食店を予約・来店した消費者、飲食店で使える食事券を購入した消費者、イベント・エンターテインメントのチケットを購入した消費者に対し、割引・ポイント・クーポン券等を付与する。

引用元:文部科学省HP 報道発表 学校への布製マスクの配布について
URL:https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/mext_00189.html

もらえるお金なのかもらえる物なのか迷いましたが、物(現物支給)にカテゴライズしてみました。

こちらもまだ先の話ですし、具体的には何も決まっていないようです。

なお、このキャンペーンに関して1兆6,794億円が補正予算に計上*されています。
*出典:財務省HP 令和2年度補正予算の概要
URL:https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020407b.pdf

3.詳細はまだ決まっていない施策も多く、実施には補正予算の成立が前提

こうして見てみると中身がハッキリしないものが多いという印象です。

また、補正予算は閣議決定された段階ですので、国会での予算成立はこれからになります。

野党がどのような対応をするのか、またその結果がどうなるのかはまだわかりません。

また緊急経済対策の内容について様々な意見があり、実際にお金を受け取れるのはかなり先のように思えます。

まとめ

如何だったでしょうか。

この先緊急経済対策がどうなるのか、また本丸のコロナウィルスの蔓延が果たして収束するのか、一喜一憂することなく冷静に過ごしたいですね。

ではまた。

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