レナウンの経営破綻・上場廃止に思うインデックスファンド(パッシブ運用)の弱点

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先日、老舗アパレル企業である株式会社レナウンの民事再生手続開始決定が発表されました。

今回はレナウンを例にインデックスファンドの弱点について考えたいと思います。

1.東証一部上場企業であるレナウンの経営破綻・上場廃止が決定

5月15日付けで民事再生手続開始決定が発表されたレナウン。

同日付けで6月16日をもって上場廃止となる事が発表されています。

消費税増税、暖冬での冬物需要低迷、新型コロナウィルスでの百貨店休業による売り上げの激減等々により、資金繰りが行き詰ったようです。

今回はレウナンの経営破綻そのものについて語るのが目的ではありませんので、前置きはこのくらいにして、インデックスファンドとの関係を考えてみたいと思います。

2.レナウンはTOPIXの構成銘柄の1つ

レナウンは東京証券取引所第一部上場株式ですのでTOPIXの構成銘柄です。

つまり、TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドを保有している場合、間接的にレナウンに投資している可能性があるという事になります。

※「可能性がある」という表現なのはベンチマークが同じインデックスファンド同士であっても商品ごとに組み入れ銘柄数は異なるからです。

見出し

TOPIXの組み入れ銘柄数は2164(2020年3月末)ですが、インデックスファンドの組み入れ銘柄数は異なります。

例えば、超低コストインデックスファンド御三家の組み入れ銘柄数を比べると、

1860<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド(2020年2月20日))
2137(eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)(2019年4月25日))
2113(たわらノーロード(2019年10月15日))

と、組み入れ銘柄数には差があります。
※数値は全て各ファンドの運用報告書(全体版)から抜粋

同一ベンチマークに対し、組み入れ銘柄数の大小どちらが優れているかという点については、何とも言えません。

「銘柄数が少なければ売買や管理の手間が省け、コストが下がるので少ない銘柄でベンチマークに追従できている方が良い。」

という考え方もありますし、

「多少銘柄数を減らしたところで、売買や管理の手間は変わらずコストにも影響しない。銘柄数が多い方がベンチマークから乖離する可能性が下がるので良い。」

とする考え方もあります。

私自身は直感的に銘柄数が多い方が良い方が「やらかす」心配は少ない気がしますが、何とも言えません。

3.TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドへも悪影響が・・・?

上場廃止が決まっているので、株価は基本的に下落すると思われます。

そうなると、TOPIXも下がってインデックスファンドの基準価格も下がるのではないか?と心配される方もいらっしゃると思いますが、正直言って基準価格への影響はほとんどありません。

何故かと言うと、レウナンのウェイトが少ないからです。

株価が下落しない可能性もある?

通常であれば破綻が決まっているので、株価は下落する事になります。

が、しかし、こういった銘柄はマネーゲームの対象になりやすく、紙切れになる事が分かっていても、上場廃止まで暴騰と暴落を繰り返す可能性も捨てきれません。

数年前タカタ(エアバックのリコールが原因で経営破綻)の株取引がマネーゲームと化し、上場廃止まで暴騰と暴落を繰り返したのは記憶に新しいところです。

4.レウナンのTOPIXに占めるウェイトは僅か約0.009%に過ぎない

レウナンのTOPIXに占めるウェイトは僅か約0.009%に過ぎず、非常に低い割合になっています。

従って株価が1円に下落したとしても、TOPIXへの影響はほとんどありません。

むしろ別の要因(例えば新型コロナウィルスの感染者数や米中貿易摩擦の関連ニュース等)の方が大きな影響を与えると思われます。

なお、TOPIXに占めるウェイトが最も大きいのはトヨタ自動車で約3.67%、次いでソニーの約2.06%となっています。

このあたりの銘柄が暴落するような事態になれば、TOPIXも大きな影響を受ける事になります。
ライブドアショックのように「~ショック」と呼ばれる可能性大ですね。

5.インデックス(市場全体)に投資するということは良い銘柄、悪い銘柄の区別無く投資する事になる

今回のレウナンの経営破綻は直近では新型コロナウィルスの影響が大きかったようですが、それ以前からリストラに踏み切ったり、中国の繊維大手の傘下に入るなど長年に渡って経営状況は良くなかったようです。

残念ながらインデックス投資とは、こういった有望とは言えない企業にも投資する事になってしまう投資手法なのです。

この点は、インデックスファンドの弱点の1つです。

では、アクティブファンドに投資していれば有望ではない企業への投資は防げるのか?というと、そうとは限らないのですが・・・。

そもそも、

将来どの銘柄がどのタイミングで値上がりして値下がりするのかは誰にも分らない(未来は予知できない)。資本主義下で市場全体として経済成長が続くであろうという考えの元、市場全体に投資する。」

のがインデックス投資です。

市場全体に投資するという性質上、良い銘柄だけでなく悪い銘柄も抱え込む事になるというのはどうしても避けられないという事になります。

6.ベンチマークの構成銘柄入れ替え時の高値掴みもインデックスファンドの欠点の1つ

その他にも、ベンチマークの構成銘柄が入れ替わる際に高値掴みしてしまうのもインデックスファンドの構造的な欠点の1つですね。

たとえば日経平均株価の構成銘柄の入れ替えが行われる場合、入れ替え対象銘柄は事前に発表され、入れ替えが実施されるまでしばらく期間が空きます。

そうなりますと発表から入れ替え実施の間は、新規組み入れ銘柄はポジティブな材料なので値上がり傾向、除外銘柄はネガティブな材料なので値下がり傾向となるのが自然です。

多くの投資家はインデックスファンドが新規組み入れ銘柄を大量に購入し、除外銘柄を大量に売却するのを見透かしている訳ですから、当然ですね。

この状態でインデックスファンドは新規組み入れ銘柄の購入と除外銘柄の売却を行う形になりますので、新規組み入れ銘柄については高値掴み、除外銘柄については割安な値段で手放す事が避けられません。

もちろん、銘柄入れ替えのタイミングをずらす等の工夫はあると思いますが、このような不利益を完全に避けるのは不可能です。

このように、ベンチマークの銘柄入れ替え実施時に不利益を被るのもインデックスファンドの弱点の1つです。

7.万能・無敵の投資手法は存在しない

残念ながら、どんな投資手法にも欠点や弱点はあり、万能なものは存在しません。
(従って、「必ず儲かる」と謳うのは詐欺か単に欠点に気付いていないだけのどちらか)

盲目的になることなく、インデックス投資が万能ではない事を十分に認識した上で投資を行うようにしましょう。

まとめ

如何だったでしょうか。

インデックスファンドにも弱点はある事を改めて認識させてくれるレナウンの破綻劇でした。

自分はインデックスファンドを買ってないから関係ない?日本人なら全員が関係ありますよ。

国民年金(GPIF)が日本株に投資していますからね。

日銀もETFを買い入れてますし・・・

結局ツケを払うのは国民という事ですね。


ではまた。

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